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新しいフィールドへ挑戦するDNA 環境問題から社会問題の解決へ[すみだモダン×スタイルストア]

2021年03月17日更新

2013年に創業した株式会社理創研。墨田区で、主にプロが使う高機能薬剤を、一般に向けての商品開発・製造・販売や、薬品を安全に使用するためのコンサルティングを行っています。親会社は、創業から90年以上の歴史を持つ、工場などの事業者向けに薬品の製造・販売を行う株式会社島田商店です。現在、島田商店の3代目社長であり、理創研の社長も務める嶋田さんに、理創研で個人消費者向けに「おもてなしのプロが使う無臭除菌スプレー」を開発した経緯や、製品に込められた想いを伺いました。

薬品を知り尽くしたプロフェッショナル

―島田商店は長らくBtoBのビジネスを行ってきましたが、「おもてなしのプロが使う無臭除菌スプレー」のように消費者向けの製品を作ろうと考えたのはどうしてでしょうか。

嶋田さん:島田商店は1928年、塗料販売店としてスタートしました。墨田区の地場産業である皮革用の塗料やだるまを制作する際に使う塗料等を扱っていました。今から40年ほど前になりますが、2代目の父の時代に、環境保全に使われる薬品の製造販売へ事業を広げました。

嶋田さん:島田商店ではこれまで、業務用として使用する顧客向けに、高濃度で、トン単位にもなる大容量で薬品を販売してきました。私の代になって、同じ薬品でも希釈のいらない濃度へ製品化することで、個人のお客様にも安全に使っていただけるのではないか、と気づき、これまで取り扱っていなかった消費者向けの商品を開発しようということになったんです。

工場内には高濃度・大容量の薬品が大量に置かれています

実は、こちらの「おもてなしのプロが使う無臭除菌スプレー」の原料である薬品は、10年以上前から販売していました。それを個人のお客様向けに使いやすく製品化したものです。

細部まで使う人の気持ちに寄り添う

―「おもてなしのプロが使う無臭除菌スプレー」というネーミングはインパクトがありますよね。

嶋田さん:この商品は墨田区の事業者と著名なデザイナーなどとのコラボレーションを行う「ものづくりコラボレーション事業」で開発したものです。このネーミングもその時に、デザイナーと共同で考えました。除菌スプレーとしては聞き慣れない商品名ですよね。最初に提案されたときは自分も半信半疑だったんです。でも「騙されたと思って」と背中を押されました(笑)。

―「おもてなしのプロが使う」とは、具体的にどういうことでしょうか。

嶋田さん:主な成分のPHMB(ポリヘキサメチレンビグアナイド)は実際に世界30か国で使われています。どうして採用されているかというと、今までのアルコール系や塩素等の殺菌消毒剤の欠点をカバーするものだから、というのが大きいですね。

無臭で皮膚刺激も少なく、脱色しないという特徴があります。アルコール系や塩素には①臭いがきつい、②皮膚刺激がある、③脱色したり錆びさせてしまう、という大きく3つの欠点がありますが、PHMBはそれを全て覆すものです。コンタクトレンズの保存液にも使われる成分なので安全ですし、化学的データも豊富にある成分です。

例えば、塩素は濃度が高いと漂白作用が強まってしまいます。そういった心配のないPHMBの除菌剤は、黒い服や絹の和服を着る冠婚葬祭業の方にも多く使っていただいています。それから、身体が弱った方は塩素やアルコールの刺激臭に敏感になりがちです。PHMBは無臭なので介護や看護の現場でも使われています。

―よくお店で見かける除菌スプレーとは全く違う成分なんですね。インテリアに馴染むデザインも他ではあまり見かけません。

嶋田さん:よく見かける市販の除菌スプレーのパッケージは、使う人の気持ちを考えていないような色やデザインに感じてしまいます。

嶋田さん:商品の見た目も、汚いものに使うもの、というイメージを持たれないように気を遣いました。いかにも「汚いものに振りかけるスプレー」というデザインのものをシュッとされたら、悲しくなるじゃないですか。在宅介護の際などに使っていただくときに、そんなことが無いようにしたかったんです。「おもてなし」という言葉を使っていますが、自宅で使ってくださる方にとっては、おもてなしとは「家族への思いやり」です。

デザインにはもう一つこだわりがあって、それはボトルが透明なこと。薬品を入れるボトルが透明っていうのは、実はかなりリスキーなんです。不純物をゼロに近づけないとクリアなボトルに入れるのは難しい。コストはかかりますが、クリーンルームに近い環境でボトルに詰めて、中身が透けて見えてもいい品質にこだわっています。

新しい時代に挑戦していく、しなやかな姿勢

―消費者向けの製品の製造・販売を目的に理創研を設立されたのでしょうか。

嶋田さん:理創研は島田商店と比べるとよりベンチャー的な思考を持って、親会社ではできないビジネスを進める会社です。消費者向けの製品を手掛けることは理創研の1つの側面です。それとは別に、介護施設や病院向けに衛生管理や製品の取り扱いの講習会やコンサルティングも行っています。薬品を適材適所に、そして安全に使っていただきたいので、販売と並行して啓発活動も理創研で行っています。

―新しい分野へチャレンジする精神は、島田商店で長く育まれてきたものなんですね。

嶋田さん:世の中自体がどんどん変わっていく中で、「自分の会社はこうだ」と頑固になっても意味がありません。頑固になることと、しっかりした幹を持つというのは全く違うと思うんです。

嶋田さん:「化学の力で環境を良くしていく」「人に優しい次世代の環境を作っていく」というのが島田商店の大きなモットーです。製品と世の中の流れに柔軟であり、かつ、会社の在り方も変わっていかないと新しい風が入ってこない。私の代になって、7年くらいかけて大きく組織構造も変えていっています。

以前「フロンティアすみだ塾」という若手後継者・経営者を対象とした墨田区主催の講座に参加していたのですが、これも会社の変革の大きなきっかけでした。革新的でエネルギッシュな仲間と出会って非常に強い刺激を受け、学びも多かった。

島田商店が運営しているクリエイティブスタジオ「両国メルティングポット」

嶋田さん:新しい取り組みとしては、区の「新ものづくり創出拠点」事業にも参加しています。「両国メルティングポット」という拠点を作り、子ども向けに化学の実験教室を開催したり、製品開発の際に他の企業とアイディアを交換し合ったりする場として運営しています。

―理創研の今後の展開を教えてください。

嶋田さん:島田商店は、環境問題からスタートして、現在は社会問題の解決へシフトしています。理創研としても、個人向けの製品に始まって、今後は社会問題の解決に寄与する製品やサービスを展開したいと考えています。

嶋田さん:例えば、いま死亡者数が年々増加し、2040年にはピークを迎えると言われています。現状でも火葬場が足りず社会問題になっています。都市部では火葬まで一週間待ちという場合も少なくありません。そこで「エンバーミング」という薬品を使ってご遺体の腐敗を遅らせたり、ご遺族が心ゆくまで最期の時間を過ごすグリーフケアに期待が集まっています。島田商店ではエンバーミング用の薬品を取り扱っていて、国内シェア50%以上です。理創研では、海外の技術者と同行したコンサル指導を担っていきます。

「おもてなしのプロが使う無臭除菌スプレー」としては、海外展開を進めています。現在は中国への進出を強く考えています。ネーミングの表記もそのまま日本語で、メイドインジャパンを世界で展開したいです。

長年多様な薬品を取り扱ってきた薬品のプロフェッショナルとして、様々な現場での知見を持つ島田商店。理創研は長い歴史を持つ島田商店と共に、新しい分野への挑戦を続けています。「おもてなしのプロが使う無臭除菌スプレー」は、島田商店が持つノウハウに使う人への思いやりをプラスして生まれました。より清潔に気を配るようになった今、こんな除菌スプレーが欲しかった!と思う方も多いのでは。除菌スプレーを選ぶなら、安心感とやさしさで比べてみてください。

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文・構成/シマサキアヤ

このコラムを書いた人

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