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自社牧場・一貫生産に隠されたこだわり[すみだモダン×スタイルストア]

2022年02月24日更新


内モンゴルに研究機能も兼ね備えた自社牧場と工場を持ち、カシミヤ製品の一貫生産にこだわるnorthpeace farm(ノースピースファーム)。新しいすみだモダンの事業でパートナーシップを結んだ、ホリゾン株式会社のオリジナルブランドです。ファッション業界が直面する課題解決にも積極的に取り組まれているnorthpeace farmが、自社牧場・一貫生産の2つにこだわる理由を広報の脇田さん、杉山さん、企画担当の畔原さんの3名にお話しいただきました。

ー カシミヤを扱うブランドは日本にもたくさんありますが、内モンゴルで自社牧場を持ち、一貫生産を現地で行う会社は珍しいかと思います。内モンゴルでの一貫生産を選ばれた経緯について教えてください。

左から畔原さん、杉山さん、脇田さん


脇田さん:一貫生産にこだわった理由は適正な価格で安心安全にカシミヤのある暮らしを楽しんでいただきたいからです。自社牧場を持つ理由もここにあります。

杉山さん:カシミヤ業界では複数の業者や工場を経由する分業制がとられてきたため、余計なコストがかかる、品質管理が疎かになる等の課題を持っていました。それに加え、偽カシミヤが流通するなどといった問題も。自社牧場を持ち、一貫生産を行うことができれば、適正な価格で質の良いカシミヤ製品を提供することが可能になり、「カシミヤは高い」という世間のイメージからも脱却できると考えたのです。

ー 自社牧場の開牧と一貫生産の実現は決して簡単ではなかったと思います。どれくらいの期間かけて取り組まれたのですか。


杉山さん:弊社は2002年にモンゴル出身の代表が設立した会社ですが、当初は自社牧場を持っていませんでした。一貫生産を行い始めたのは2005年、自社牧場が正式に開牧したのは2019年のことです。行政、そして1140の牧民ファミリーとコミュニケーションを取りながら数年間かけて理解と協力を募りました。現在は内モンゴル政府の認定のもと、一貫生産を行うことができています。

ー 自社牧場を持つことにこだわられた理由は何だったのでしょうか。


脇田さん:自社牧場とは牧民の方々がカシミヤを販売する場であることを意味しています。これまで世界各国からやってきたバイヤーが牧民から相場より安い価格でカシミヤを購入するケースが多くありました。私たちの牧場では原料の取引センターを設けることで、カシミヤの原毛を現地の人が適正な価格で販売できる場を提供しています。内モンゴルにはあまり多くの産業がありません。適正価格で牧民がカシミヤを販売することで、少しでも内モンゴルの経済が発展したらと考えております。


杉山さん:自社牧場があることで、私たちはどこの誰が育てたカシミヤかを明確にして日本のお客様に届けることが可能になります。私たちはトレーサビリティを取ることをミッションとして掲げているのですが、自社牧場を持つことでそれが可能となっているのです。日本ではよく「○○さんが作った人参」のような形で野菜が売られていますが、それと同じように「○○さんの育てた山羊のカシミヤ」として届けられるようにしていきたいと思っています。

ー 一貫生産によりコスト削減と品質向上が実現する理由についても詳しく教えていただきたいです。


畔原さん:まず、全てのプロセスを自社で行っているため、在庫の管理を行うのが簡単になり、生産ロスを最小限に収めることができます。これだけでも無駄なコストを抑えることができますが、northpeace farmではさらにOEMで出たロスを活用した製品開発を行っているんです。


杉山さん:カシミヤ100%の製品を販売するためには生産ラインなどで異なる素材が混ざらないよう、管理する必要があります。複数の工場を経由するとそれだけ異なる素材が混ざる可能性が高まるので、カシミヤ100%を維持するのは難しくなるのです。northpeace farmではカシミヤだけを扱う1つの工場でワンストップの一貫生産をしているのでカシミヤ100%の製品を必ず作ることが可能になっています。

ー 生産ロスも活用できる製品開発を行っているとのことですが、その他に大事にされていることはありますか。


畔原さん:商品企画においては、長く使っていただける色とデザインを意識しています。カシミヤは長く使えば使うほど馴染んでくるのが特徴的な素材だからこそです。生産ロスをうまく活用しながら臨機応変に色やデザインを決めるのが難しくもあり、ワクワクする時間ですね。

ー 原料の調達と生産だけではなく企画にもこだわったブランドなんですね。northpeace farmの今後の展望や目標があればぜひ教えてください。


脇田さん:工場で出たロスを有効活用することを目的に始まったnorthpeace farmですが、今後は不要になったカシミヤ製品のリメイクにも注力していく予定です。穴が空いてしまったカシミヤのセーターなどを引き取り、毛に一度戻して新しい商品に生まれ変わらせることで資源の循環ができたらと思っています。

杉山さん:2020年から少しずつこの取り組みを進めているのですが、まだまだ生産面やコスト面で調整が必要な状況です。早く皆様に正式にお知らせできるよう、社員全員で頑張っていきます。

ー 素敵な取り組みがまだまだ企画されているとのこと、楽しみです!最後になりますが、読者の方にメッセージをお願いします。

杉山さん:2013年4月にバングラデシュの縫製工場が崩壊する事故があったことをご存知でしょうか。1000人以上の死者がでたこの事故では、縫製工場で作られていたものがファストファッションブランドの服であったことや、工場の劣悪な労働環境などが問題視されました。この事故をきっかけにファッション界ではエシカルでサステイナブルなファッションのあり方について議論が行われています。そしてその取り組みの一つとして「ファッションレボリューション」というキャンペーンも立ち上がり、northpeace farmも昨年、参加させていただきました。

脇田さん:私たちもお届けする立場として、商品ができるまで牧場から工場と、たくさんの人の力があってnorthpeacefarmのアイテムができていることをお伝えしたいと思っています。是非、応援して頂ければ嬉しいです。

お客様だけではなく地域や牧民の方々、全ての人にとってメリットのある理想の形を追い求めてできた自社牧場・内モンゴルでの一貫生産という独自のスタイル。作り手が見える安全安心な製品の提供にとどまらず、ファッション業界の課題に真摯に向き合い、課題解決に取り組む姿勢がnorthpeace farmの最大の魅力に感じました。

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文・構成/松本佳恋

このコラムを書いた人

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