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世界も認める墨田区の豚革を扱う、素材職人のこだわり

2022年03月30日更新


革小物ブランドTOKYO LEATHER FACTORY(トウキョウレザーファクトリー)のウォッシャブルレザーシリーズは、豚革の地場産業が盛んな墨田区だからこそ生まれたバッグと言ってもいい一品です。「ありそうでなかった」を実現した洗える豚革のバッグが生まれたきっかけや、豚革を使用したバッグならではの開発背景を、素材を知り尽くした革のスペシャリストである、TOKYO LEATHER FACTORYの加藤さんにお伺いしました。

世界にも認められている墨田区の豚革

ーまずは洗える革の開発を始められた経緯について教えていただけますか。


加藤さん:前職で革職人として働いていた際、業界によって革に求められる要素が違うと感じていました。例えばアパレル業界では、服は洗濯することが前提となっているので洗える革を必要としています。一方、バッグや靴などといった小物を扱う業界ではクリームやブラシで小物をケアするという文化が根付いているため、洗える革を求められたことがなかったのです。その違いから、そもそも丸洗いできるバッグや靴があれば便利でいいのではないかと思ったのが開発のきっかけとなりました。

そこから前職の会社で開発に取り組み、2014年に洗える革のバッグの販売を前職の自社ブランドとしてスタート。その後2015年にすみだモダンの認証を受け、2021年11月にブランドとして独立しました。

ー墨田区が豚革の有名な生産地であることはあまり知られていないように感じます。

加藤さん:日本が国内で唯一自給できる革は豚革と言われています。そしてその中でも墨田区は国内の豚革生産のほとんどを担う一大生産地として豚革に関わる技術・ノウハウを積んできました。これは地理的背景や歴史的背景に加えて、豚の方が牛に比べて生産性が高かったことなどが影響しています。


牛革に比べて豚革は加工時に大量の油が出るなどといった特徴を持つため、加工時には豚革に特化した技術が必要です。そして世界では牛革の方が流通量が多いこともあり、豚革に関する技術を持つ国は限られています。墨田区の豚革はそんな中、クオリティが高い豚革として世界にも認められ、世界のハイブランド商品に採用されるまでに至りました。

使っても、洗っても変化が楽しめるバッグ

ー革バッグの開発にあたり、素材職人としてのこだわられた点を教えてください。


加藤さん:豚は牛に比べて小さいため豚革のサイズも必然的に小さくなります。そして体の部位によって毛の長さが異なるため豚革の表情も変わるんです。バッグを作る際はそんな豚革の特徴をうまく活かす方法を模索するためにたくさん時間をかけました。


特に苦労した点は豚革のパーツを組み合わせる際の表情合わせです。どの部分の豚革を合わせるかによってはバッグのデザインがパッチワークのような見た目になってしまいます。素材としっかり向き合い、デザイン性にとことんこだわりました。

ー洗えるという点においてもこだわられた点はありますか。

加藤さん:バッグに使用する細かい部材は洗える革バッグに合わせてこだわって選び、耐水性などは何度もテストして確認しました。洗えるということは汚れも綺麗に落ちるということを意味すると同時に、洗うことによる色褪せなども生じます。革は経年変化が楽しめるのが特徴的ですが、使うだけではなく、洗うと共に豚革の表情が変化していくのも楽しんでいただけたらなと思って作りました。洗えるバッグという特徴を活かして、様々な場面で使っていただけたら嬉しいです。

自由で面白い素材作りに注力していく

ーTOKYO LEATHER FACTORYがブランドとして独立されたばかりですが何か変化はありましたか。


加藤さん:ブランドが独立したことで挑戦の幅は広がったと思います。これまでは依頼いただいた条件の中で素材を作ることが多かったのですが、条件にとらわれることなく、独自の素材を販売したいと思うようになりました。素材はどうしても商品において占める比率が高く、原価率も高いためできるだけ安価のものを求められることが多いです。そのため素材の開発において諦めてきたことが多くありましたが、豚革は手を加えれば加えるほど良い素材にすることができます。

独立したからこそ、これまで挑戦できなかったことに積極的にチャレンジしていきたいと思っています。

ー今後、製品開発にも素材開発にもますます注力されていくということなのですね。


加藤さん:そうですね。現状は製品開発が9割、素材開発が1割となっていますが、今後は面白い素材作りにもっと取り組んでいきたいと思っています。

前職時代から16年間、様々な豚革を見てきました。墨田区だからこそできる加工もあれば、別の産地だからこそできる加工もあるので、それらをうまく組み合わせて新しいものづくりをしていきたいです。引き続き、素材にとことんこだわったものづくりを続けていきます。


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文・構成/松本佳恋

このコラムを書いた人

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