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職人の技術を継承していく、墨田区唯一のハンドメイドガラス工場

2023年01月25日更新

東京都指定伝統工芸品の「江戸硝子」の窯元として、墨田区唯一のハンドメイドガラス工場を構える岩澤硝子株式会社。長い歴史を持つ岩澤硝子の製品作りと、すみだモダンにも認証された一番の人気商品の江戸前すり口醤油注ぎの特徴について教えていただきました。

職人技が光る、液だれしない江戸前すり口醤油注ぎ

ー会社の歴史について教えてください。

岩澤硝子は大正時代に江東区猿江裏町に創業し、100年以上の歴史があります。戦争による一時中断を経て、戦後の昭和26年に墨田区で製造を再開。創業当初は車やバイクのヘッドライト用のレンズや醤油注ぎを製造する下請け企業でしたが、収益性の安定を目的に自社製品の開発を進め、灰皿や花瓶、表彰盾などの雑貨品の製造販売も行うようになりました。

ーすみだモダンにも選ばれた江戸前すり口醤油注ぎについても教えてください。どのような経緯で販売されることになったのでしょうか。

江戸前醤油注ぎは昭和の頃から製造していたのですが、当時はねじ口タイプを販売していました。ねじ口タイプの欠点として液だれが挙げられていたので、液だれのないすり口タイプの販売もしようと先代の父と話し合い、2007年頃から江戸前すり口醤油注ぎの販売を始めました。

ー醤油注ぎにはねじ口タイプとすり口タイプがあるのですね。岩澤硝子のすり口醤油注ぎの特徴はどの点にありますか。

瓶と蓋の両方をガラスで作った醤油注ぎを量産できる会社は国内で3社しかありません。岩澤硝子はその内の1社です。瓶は空気を入れながら作る、圧迫成型法で作っており、蓋はプレス成型で作っています。ガラスのプレス成型ができる工場も多くないので、蓋だけの注文もいただいています。

すり口タイプは液だれしないのが特徴ですが、それは瓶と蓋のすり合わせが鍵となっています。職人が1つずつ個体差を調整してペアを作るため、組み合わせが変わるときちんと入らなくなってしまうことも。複数同じ醤油注ぎをご使用いただくことが多いレストランなど、業務用にはねじ口タイプを販売している理由はここにあります。

会社を継続していくことは決して簡単ではない

ー岩澤硝子が大事にされていることがあれば教えてください。

会社を継続していくことを大事にしています。技術があるからこその会社なので、コロナ禍で売上が不安定な時期が続いても職人の雇用維持を優先したほか、ガスを年中出しっぱなしにするガラス製造業にとってはこの1年で光熱費が2~3倍に上がったことは大きな打撃ですが、なんとか会社を維持してきました。

ガラス製造は、火を止めたら製造を再開できずやめるしかない産業です。コストがかかることに加えて、窯のメンテナンスには危険な作業もあり、技術や勘、経験が大事な作業も多いです。そのため昔はたくさんあったガラス工場も年々減り、全国で残り20社程になってしまいました。墨田区でも昔は多かったのですが、現在ではハンドメイド成型の工場は私たち1社のみです。維持が難しい産業だからこそ、日々継続していくことに注力しています。

ー会社を続けていくこと自体が大変な中で、すみだモダンの認証を受けたことの影響はいかがでしたか。

江戸前すり口醤油注ぎは実は発売してから2年程はほとんど売れなかったのです。しかし、すみだモダンに認証されたことをきっかけにたくさんの方にご購入いただく人気商品に。

すみだモダンに選ばれたことがきっかけでメディアに取り上げていただく機会も増え、多い時では1日で4000個の注文があったこともありました。ちょうどスカイツリー完成のタイミングだったということもあり、手頃な価格の醤油注ぎがお土産に選ばれやすかったのも良かったのかもしれません。

社員への還元が収益拡大を目指す目的

ー今後も会社を継続していく際に大事になるだろうと感じているポイントがあれば教えてください。

地域の方々や自治体にサポートをしていただき、仕入れ先の方々にも支えていただきながら、という点が会社を続けていく上で大きなポイントになるかと思っています。実際にガラス市のイベントでは墨田区にバックアップしていただく形で開催することができました。1社が頑張るのにも限界があると思うので、他企業や自治体の方々に、様々な面で協力や理解をして頂けることで会社を継続させ、お客様に商品を届けていきたいと思っています。

ー最後に、これから新たに取り組みたいことや目標があれば教えてください。

国内でも数少ないガラス製造企業として、会社の思いなどをもっと発信していきたいと思っています。販売している醤油注ぎも徳利も、特徴のある商品なのでその特徴をきちんと伝えて、たくさんの方に届けていきたいです。そのためにも、現在改めて自社ECサイトの立ち上げを進めています。

ゆくゆくは自社ECサイトを通してお客様に直接販売することで、より安定した収益を出せるようにできればと思っています。そしてBtoCにより注力していく中で、増えた利益は社員にもっと還元していきたいです。

このコラムを書いた人

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