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大関鞄工房が革製バッグを通して伝えたいこと。「作る」から「伝える」のフェーズへ

2023年11月22日更新

1963年創業の大関鞄工房。オリジナルレザーバッグブランド「Squeeze」を展開するだけではなく、革バッグが作れるワークショップの企画・運営も行っています。

鞄工房が、年間300人以上が参加する大人気のワークショップを開催し続ける理由とは。二代目で代表取締役社長の大関敏幸さんにお伺いしました。

メイドインジャパンへのこだわりと誇り

ーまずは会社の歴史と事業内容について教えてください。

元々問屋勤めだった先代の父が始め、今年で創業60年の会社です。革小物の販売や修理、そしてものづくりが体験できるワークショップを行っています。

私自身は父の姿を幼い頃から見て、楽な仕事ではないことを痛感していたため、全く異なるIT業界に就職しましたが、27歳になってから大関鞄工房に入りました。

ーIT業界からものづくりの世界に入ってみていかがでしたか。

職人さんが誇りを持って仕事をされていると感じたことが記憶に残っています。そして職人さんと対等に話すためには、自分自身もバッグをバラして作ってみるなど、手を動かす努力が必要でした。

海外で安価にものが作れる時代に、日本製を作り続けることに誇りを持つ職人さんたちと、自分達がやっていることに対して誇りを持って、日々もがき続けていました。

年間300人以上が参加する大人気ワークショップ

ーオリジナルバッグ作りができるワークショップとその活動は、2022年のすみだモダンに認証されていますが、このような活動を始められた経緯を教えてください。

2012年に「アウトオブキッザニア inすみだ」という子ども向けの企画に参加したことがきっかけです。その企画ではもっとものづくりに触れる機会を子どもに、ということでものづくりの街である墨田区の職人さんたちが集まって、工房で職業体験できる機会が設けられました。これが好評だったため、継続してワークショップを開催することになりました。

ーワークショップの運営や実施において大事にされたことなどはありますか

限られた時間内で、自分でバッグを作ったという成功体験を実感してもらえること、そして記憶に残るものづくり体験にすることを重視してワークショップは設計しました。

また、保護者の方にはワークショップ中は口出しをしないことをお願いしています。お子様が好きなように作り、世界で一つだけの自分のバッグを作るためです。

子どもは素直なので、楽しいことに楽しいとその場で言ってくれます。お子様向けのワークショップの運営はやはり大変ですが、それでも最後に笑顔で出ていくのを見れるのが嬉しくて、続けていたらいつの間にか10年経っていました。

ー10年というと、たくさんの方がこれまでワークショップに参加されているのですね。

参加人数でいうと年間300人程の方々にご参加いただいているかと思います。初めは大人向けには行っていませんでしたが、ご要望をいただき、現在は大人向けのワークショップも開催するようになりました。

様々な革・色を選んで世界で一つだけのバッグを作ることができる

しかし、私たちだけではワークショップの開催回数には限りがあります。そのため現在は各教室や企業で自由にワークショップが開催できるよう、デザインや材料の提供を行い、それぞれの場所でワークショップが開催できるよう準備を進めています。今後、企業の福利厚生や学校の教材にご活用いただく機会が増えたら嬉しいです。

ものではなく知恵や記憶を残したい

ーものづくりにおいて大事にされていることを教えてください。

見えないところに手を抜かないということです。これは先代の教えでもあります。見えないところで手を抜けばバッグはすぐに壊れてしまうため、バッグの裏側や中の部分など、糸の処理をどうやってするかなども大事に製造しています。

壊れると新しいバッグを買っていただけるのでお金にもなりますし、修理などの時間もかかりません。でもそれが当たり前になりつつあることを私たちは危惧しています。そのため、私たちが作るバッグは全て直せる設計になっており、一生使っていただきたいので、全て永久保証付きです。

ーワークショップを開催される理由も、やはり「長く使ってもらいたい」という思いに関係しているのでしょうか。

そうですね。自分で作ったという思い入れのあるバッグであれば、長く使いたい、直してでも使いたいと思っていただけると思っています。

ワークショップで作っていただくバッグは、お子様にとっての初めての革バッグと言う意味でもファーストバッグですが、初めて大人と同じ本物体験をするという意味でも思い入れのあるファーストバッグになるはず。

大人用ファーストバッグ

同じデザインで親御さん用のサイズのバッグも販売しているので、親子で一緒に長く使っていただけたら嬉しいです。

ー今後の展望についても教えてください。

今後は、ものを残すというよりは知恵や記憶を残す、教育的なアプローチに注力できればと思っています。ワークショップで何を学ぶか、何を感じるかは人それぞれですが、参加者全員に何か一つでも収穫のあるワークショップを運営し続けたいです。

そしていつかワークショップに参加してくれたお子様が大きくなって、結婚して、またお子様をつれてきてくれる日を夢見ています。


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文・構成/松本佳恋

このコラムを書いた人

スタイルストア 編集室

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