インタビュー&ゲストコラム

上質な化粧品を、必要としてくれる人のために-HOKEN 古屋和美さんインタビュー

2017年01月12日更新

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1年で最も乾燥する今の時期は、
ハンドクリームが手放せないという方も
多いことでしょう。

当店で取り扱っているHOKENの
 HONEYX シェイビングクリーム
この時期特に人気の高いアイテム。

乾燥から手肌をしっかり守ってくれると
評判の、知る人ぞ知る逸品です。

ハンドクリームじゃなくて
シェイビングクリーム??と、
不思議に感じる方もいるかもしれませんが、
そのネーミングにも理由があります。

今回、HOKENの広報担当であり、
創業者のお孫さんでもある
古屋和美さんに、ホーケンの歴史や
製品のコンセプト、そして人気商品
シェイビングクリームのことなど、
じっくりとお話をうかがいました。
全3回でお届けします。

株式会社ホーケンの古屋和美さん。「ホーケン」とは「関東養蜂科学研究所」という名前から。創業時はおじいさま自ら、東京の江戸川区で蜂箱を並べて養蜂を行っていたそうです。

第一回は、化粧品をつくることになった
きっかけや、今の販売スタイルに至る
までのことをお話いただきます。

古屋さんの美肌の秘訣や愛用品に
ついても、次回以降お届けしますので、
こちらもどうぞお楽しみに。

当時は斬新だった、ハチミツ成分を配合した化粧品

小林:ホーケンさんの創業は1927年と伺いました。古屋さんのおじいさまが創業されたそうですね。

古屋さん:祖父は、ミツバチの研究者でした。研究室にこもって研究をしている姿を今でもよく覚えています。化粧品をつくるつもりは、もともとはなかったと聞いていますけれど。化粧品は研究を進める過程でできた副産物といってもいいかもしれません。当時、祖父と親交があった百貨店の上層部の方たちが出資してくださり、日々の研究を発表する場として「万国婦人子供大博覧会」に出展することになったそうです。そのときに初めてつくったフェイスクリームが金賞を受賞し、創業のきっかけとなりました。

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「万国婦人子供大博覧会」で授賞したメダル。

小林:今でこそ、ハチミツの成分がお肌によいというのはよく知られていますが、当時はそうではなかったのでしょうか。

古屋さん:そうですね。ハチミツの成分を配合した化粧品は、もしかしたらうちが最初に出したのかもしれません。祖父は「万国婦人子供大博覧会」とつくくらいだから、女性向けの何かをつくろうと思い立ったそうです。それまでの研究でハチミツやローヤルゼリーは肌によいことがわかっていたので、化粧品をつくろうと。その結果、化粧品は大変好評をいただき、皇室から注文を受けたり、さまざまな百貨店から取扱いの希望を頂いたりして、少ずつ売場が増えていきました。一時は、ハワイの百貨店にも置いて頂いていたんですよ。

大切に保存された当時の写真。常に白衣姿で研究をしていたおじいさまの写真(左上)も。

小林:今は百貨店のカウンターでは販売されていないそうですが、なぜでしょうか。

古屋さん:その後戦争があり、原料は手に入らず、化粧品どころの話ではない時代になってしまいました。百貨店が並ぶ銀座も焼野原となり、それを見た祖父は、衝撃のあまり、もう商売を辞めようかとも思ったそうです。そんな中で、「華やかな百貨店内の、きれいな販売員さんが並ぶカウンターで、贅沢なクリームを販売すること、それが本当に自分のやりたかったことだっただろうか」と、立ち止まって考えてしまったようです。

でもその時、「HOKEN化粧品がなくなったら困る。作るのを辞めないで」「どこへでも取りに行くから売ってほしい」というお客さまからの声がたくさん寄せられたのだそうです。だったら本当に必要としてくれる方々のためだけつくろうと、今の販売形態で継続することにしたと聞いています。つまり、あちこちに卸してたくさん販売したり、広告費をかけて華やかな宣伝をしたりはしない。必要としてくれる方の元へ、適正価格でお届けする、というスタイルですね。

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創業者である高橋四郎氏。

小林:HOKENさんの化粧品がデパートなどでほとんど見かけないのには、そんな経緯があったのですね。

古屋さん:他の化粧品だとどうしても肌に合わないというお客さまもいらして。もう50年以上愛用してくださっている方もたくさんいらっしゃるんですよ。私の父が病で倒れたとき、その方々のためにも化粧品販売を続けなくてはと思いました。それでまず兄が事業を継ぎ、その3年後に私が入社したんです。祖父は、自分の代だけで終わらせてもいいと考えていたようです。家業を継ぐようにと強制されずとも、私の両親も、結果的に私も継いでいるのは不思議なめぐり合わせですね。

小林:古屋さんのお話を伺っていると、おじいさまのへの愛情が伝わってくるようです。

古屋さん:いやー、明治の男性だから、怖かったですよ。私は手先を動かして工作をするのが大好きで、いつもなにかをつくって遊んでいるような子どもだったのですが、「使ったハサミはもとの場所に戻しなさい」といつも叱られていました(笑)とはいえ、好きだったんでしょうね。中学生の時に書いた作文にも祖父のことを書いていたくらいです。何を書いたかなんてすっかり忘れていたのですが、後になって見てみたら「一緒に働きたい」という内容だったので、自分でびっくりしたくらいです。祖父の想いは、いつの間にか私たちにも受け継がれているのだなと、しみじみします。

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中学生だった古屋さんの作文「祖父のめがね」。上は今も保管されている、おじいさまのめがね。

クラシカルなパッケージデザインも、HOKENの魅力

小林:HOKENさんの化粧品はパッケージのデザインもとても素敵です。見た目も創業時からそれほど変わっていないそうですね。

古屋さん:パッケージデザインも祖父が行っていたんですよ。フォントや蜂の素描など、何パターンもの下書きが今でも残っています。

小林:え!これもおじいさまが!?

古屋さん:アメリカに留学していた祖父のお兄さんから送られてくるものに描かれていたような、海外のエッセンスが入ったデザインを好んでいたようなんです。今見ても素敵でしょ。今ではアンティークですが、私もこういうテイストが好きなので、当時の復刻デザインのパッケージで製品を作ったこともあるくらいです。

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おじいさま直筆のロゴデザイン。

上質な原料を使って、丁寧につくり、適正価格で届けたい

小林:中身はもちろん、このルックスを含めてHOKENが好きという方も多いでしょうね。こんなにいいものなのに価格は控えめで、コストパフォーマンスの高さも評判です。

古屋さん:HOKENで販売しているのは、すべてスキンケアのための基礎化粧品です。ある意味「消耗品」ですし、すぐに劇的な効果が期待できるものでもありません。使い続けてもらってこそ良さを実感していただけるものなので、使い続けられる価格でないと意味がありません。これも祖父のポリシーです。「国産の良質なハチミツで作る」。創業当時からのこだわりを貫いて、この品質を実現するには、大量に作って大量に売る、というのは不可能ですし、また、広告宣伝費をかけないことなども、販売価格を抑えることができている理由の一つです。

小林:だから「知る人ぞ知る」という存在なのですね。

古屋さん:ずっと使い続けてくれるお客さまを第一に、その方たちを困らせることのないように、作りつづけたいです。必要としてくれる方々のために、と思うと、私たちも頑張れます。毎日触れるものですから、派手でなく、当たり前のようにそこにあるような、暮らしにそっと寄り添ってくれる化粧品でありたいです。

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レトロな雰囲気が味わい深い、ホーケンのパッケージ。右の2つは今はリニューアルしています。

今年、創業90周年を迎えるHOKEN。
創業者であるおじいさまの想いは
今も脈々と受け継がれています。

お話を伺うほど、
派手さや華やかさがなくとも、
ずっと使い続けたくなる魅力にあふれる
化粧品であることがよくわかりました。

次回のコラムでは、
人気商品であるシェイビングクリーム
ついて詳しくお話をうかがいます。

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スタッフの愛用品コラムもぜひ
合わせてご覧ください。
奥さまの手あれが酷かった、という
エンジニア秋吉のコラムです。

6歳の息子が塗りたくったシェイビングクリーム


【つくり手を訪ねて】
HOKEN 広報担当 古屋和美さん編

第1回 上質な化粧品を、必要としてくれる人のために

第2回 HOKENのハンドクリームが「シェイビングクリーム」を名乗る理由

第3回 愛用者の美肌に見るHOKENの底力、そして「健やかなる美」のヒント

このコラムを書いた人

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