みんなの愛用品

この鍋は、普段使いの無水調理鍋の決定版

2022年05月09日更新

こんにちは、バイヤーの畠田です。

キッチン道具を中心にバイイングしているという仕事柄、さまざまな調理道具に触れる機会がありますが、ここ最近で出会った中でも良い道具だなと思ったのが、先日お取り扱いをはじめた「味わい鍋」。見た目の印象は質実剛健、一見地味な印象を持たれる方も多いと思うのですが、実はすごい鍋なのです。

このお鍋とはじめて出会ったのは、スープ作家の有賀薫さんの講演会。料理をする人に寄り添った有賀さんのスープのレシピがわたしはとても好きなのですが、その講演会では「スープづくりと鍋」というテーマで、鍋の選び方などについてお話してくだいました。そこでゲストとして来られていたのが、味わい鍋を作る、文化軽金属株式会社の代表の大熊さん。鋳物の町・川口で鍋を作って一筋100年以上の歴史をもつ会社です。

片手鍋だからこそ、無水調理が身近になる

味わい鍋を一言で表現すると「普段の料理の味を一段持ち上げてくれる鍋」。

味わい鍋は厚みのあるアルミ鋳物のお鍋ですが、鋳物鍋って、重かったり手入れに気を揉んだり、普段使いというよりは「ちょっと特別な鍋」という感覚がありませんか?

アルミ鋳物の鍋というと、著名なものを含め、他にもいくつか選択肢があります。わたしも両手鍋26cmを長年使っています。無水調理ができ、蓄熱性が高いため、特に煮物が美味しく仕上がる、長く使える良いお鍋です。特段大きな不満はなく使っているのですが、あえて気になる点を挙げるとすると

・持ち手が熱くなり、ある程度重さがある&持つ時も両手で扱う必要があり、片手鍋と比べると少々扱いにくさがある
・無垢のアルミなので、油をしっかりひかないと、焼き物がくっつきやすい
・特に我が家の場合は26cmなので普段使いにはちょっと大きい

という3点。

特に、ひとつめの「少々扱いにくさがある」というのは、常々、せっかく無水調理でおいしく仕上がるのに勿体無いなと感じていました。カレーや肉じゃが、大量のポトフなど、数日分の料理を作る時には大活躍なのですが「2人分のおかずやスープをさくっと作りたい」という時には、手にとるまでのハードルが少しだけ高いのです。

そんな時に出会ったのが、味わい鍋でした。2人分の料理作りにぴったりな片手鍋のサイズがあり、内側はフッ素樹脂加工で食材がくっつきにくい。片手鍋は持ち手も熱くならない。まさに、感じていた「普段使いのしにくさ」が解消された仕様です。

さらに、片手鍋20cm(IH用)の場合、全体重量が約1.8kgですが、本体は約970gで、蓋が約820g。半分近くが蓋の重さなんですね。そのため、蓋なしの状態だと想像以上に軽く感じるのです。鋳物は重く、片手で持つにはつらいのでは?と思っていたので、これは嬉しい誤算でした。無水状態を作るために、 蓋はしっかりと重量があるのですが、本体が軽いと、スープを器に入れるために鍋を傾けたりする時にも扱いやすいです。

違いを実感する、野菜のまるごと蒸し焼き

煮物、揚げもの、焼き物、なんでもこなす味わい鍋ですが、この鍋の力を一番感じられるのは、シンプルな野菜蒸しだと思います。食材自体に含まれている水分や、少量の水分を足すだけで調理が可能。そのため、素材の持つ旨みをそのまま味わうことができます。

つくり手さんに「まずはこれを試してください」といただいたレシピが、皮つき玉ねぎの蒸し焼き。これがシンプルなのに本当に絶品でした。 新たまねぎがまだまだおいしいこの季節、ぜひお試しいただきたいレシピです。

1.玉ねぎを皮のまま半分に切り、皮面を下にして鍋に敷きつめる。
2.水100ccを鍋の底に張り、蓋をして強火にかけ、蒸気が出てきたら弱火にして20分ゆっくりと蒸す。
3.仕上げにオリーブ油をたらし、大粒の塩、黒コショウをかけて完成。

厚みのある蓋が本体とぴったり密着して、玉ねぎをまるごと蒸し焼き状態に。中は熱が均一に伝わり、軽い圧力効果もあるため、短時間でとろっと柔らかくなり、甘味が引き立つ玉ねぎに。味付けは塩胡椒とオリーブオイルだけとシンプルなのに、素材のおいしさを十分楽しめます。


ちなみに、この「蒸気が出てきたら弱火にする」は、どんな料理でも共通する、味わい鍋の扱い方のポイント。蓋をすることで、お肉も余熱でふっくら仕上げることができます。手の込んだ料理もいろいろと掲載されており、他にもいろいろ挑戦してみたくなりますが、まずは、シンプルに野菜を蒸し焼きにしていただき、味わい鍋の良さを実感していただければと思います。

フッ素樹脂加工、塗り直しもできます

鍋の内側はフッ素樹脂加工のため、剥げてしまったら使えなくなるのでは、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。その点もご安心を。別途料金はかかりますが、フッ素樹脂加工の塗り直しも行ってくださるそうです(※ガス用のみ。費用はサイズによって異なりますが、6000円~8000円+往復運賃 が目安です。ご希望の際は当店またはメーカーまでお問い合わせくださいませ)。

無塗装の鍋の場合は、油を多めに引かないと食材がくっついてしまったりしますよね。わたしは油を控えめにして、薄めの豚肉を鍋底にくっつけてバラバラにしてしまうことがしばしば…。お手入れにも気を揉まず、扱いやすいのは助かります。

ちなみに、フッ素樹脂を傷めてしまう大きな理由は、「空焚き」と「温度差」なんだそう。鍋自体が空焚きのような状態で急にあたたまったり、急に冷めたりすることで、塗装が傷んでしまうんですね。味わい鍋は、鋳物鍋で厚みがある分、鍋に急激な温度差がでにくいことから、塗装が傷みにくいんだそうです。そもそも塗装が傷みにくく、もし傷んだとしても塗り直しができる、と思うと安心です。

「二世代に渡って使える、美味しく作るための最良の鍋を」という思いで作られた、味わい鍋。実は味わい鍋以前の世代の製品は、フッ素樹脂加工がなく、無塗装のものもあったそうです。ただ、販売する中でつかい手から「本当においしく仕上がるからこそ、もっと日々の料理で扱いやすいようにしてほしい!」という多くの声を受けて、現在のフッ素樹脂加工版の味わい鍋になったんだそう。 長年の歴史の中で試行錯誤されて、今の形となったんですね。

味わい鍋は発売されて、30年以上経つロングセラーの鍋。実際に二世代にわたって使っている方もいらっしゃって、長年の愛用者から、「こんな料理を作っておいしかったよ!」とレシピが送られてくることも多いんだそうです。「我々よりも、お客様のほうが味わい鍋を理解して使いこなしてくださってます」と笑っていた、つくり手の大熊さんのお話がとても印象的で、この鍋がつかい手の日常に根差して、長く愛されていることがとても伝わるエピソードでした。

【2023年10月追記】仕様変更により、味わい鍋は残念ながらIH版が廃盤となってしまいました。ガス火版は引き続き販売しておりますのでぜひご覧ください。

このコラムを書いた人

畠田 有香

スタイルストア バイヤー

畠田 有香

ショッピングユニットでバイヤーをしています。その商品のどこが良いのか、なぜ良いのかを、わかりやすくみなさまにお届けしたいと思っています。

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