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すみだモダン×スタイルストア

メリヤス屋だからできるものを。海を渡った老舗の挑戦[すみだモダン×スタイルストア]

2021年06月23日更新

墨田区の地場産業のひとつ、メリヤス産業。中橋莫大小(なかはしめりやす)株式会社は、ここ墨田区でおよそ70年の長きにわたり、数々の有名コレクションブランドも信頼を寄せるカットソー製品を作り続けてきました。そんな中橋莫大小初のオリジナル製品であるルームシューズ「merippa(メリッパ)」は、2013年の発売以降、国内のみならず海外でも人気の製品に成長しました。

中橋莫大小の四代目社長・中橋智範さんに、会社の歴史やmerippaの人気の理由、そしてこれからの展望を聞きました。

有名ブランドに支持される確かな技術

―そもそもの話で恐縮なんですが、「メリヤス」ってどんなものなんでしょうか。

中橋さん:布地の作り方には、シャツや重衣料に使われる「織物」と、セーターやTシャツに使われる「編み物」の2種類があります。メリヤスは編み物で、「ニット」と呼ばれるものと同じと考えていいですよ。編み物の中でも、袖や襟などのパーツを含めて一本の糸で編むものと、すでに編んである生地を切って縫い合わせて作る「カットソー」とに分かれます。うちでは特に、機械で編まれた丸編みのメリヤスを使ってカットソーを作っています。

会社を構えるこの辺りでは、古くからメリヤスに関わる会社が多くあります。メリヤス産業は墨田区の地場産業なんです。侍たちが武士の仕事がなくなって、刀を置いて編み棒を持ち、編み物を始めたのがはじまりなんだそうです。

―中橋莫大小が創業されたのは昭和26年と伺いました。中橋莫大小の歴史を教えてください。

中橋さん:中橋莫大小はこの4月から68期に入りました。私が四代目で、創業したのは私の祖父です。戦時中、戦地で祖父と仲良くなった人がいました。その人の家はメリヤス生地を編む会社を営んでいて、その人の妹を「お前に嫁にやる」、ということになったんだそうです。その妹というのが私の祖母です。祖母の実家が編み機でメリヤス生地を作るので、じゃあ祖父は縫製のほうをしよう、となりました。

その後父が二代目、父が亡くなってから母が継いで、そして私が四代目です。一時期うちの会社で生地を編んでいたこともありましたが、今はカットソー製品を作ることに特化してOEM製品(※)を作っています。顧客はコレクションブランドが多いですね。
※OEM:他社ブランドの製品を製造すること

墨田区の本社には工房が併設され、コレクションブランドの生産を行っています

―コレクションブランドからの引き合いが多いということは、中橋莫大小の作る製品のクオリティが評価されているということですよね。

中橋さん:クオリティというか、難しいパターンを読み取って形にする力が評価されているのかなと思っています。そういったブランドだとパーツが多い複雑なデザインをしたりするので。シンプルなTシャツを作っていれば楽なのかもしれませんが、うちは時代に合わせた難しい物を作るほうが得意。

日本のコレクションブランドは、日本でのものづくりを大切にしているところも多いですから、そういう点でも選んでもらえているのかなと思います。安い海外製品が入ってきて競合するということも、幸いあまりありませんでした。

メリヤス屋がルームシューズを作る理由

―本業のOEMが好調な中で、merippaを始めようと思ったのはどうしてでしょうか。

中橋さん:業界全体を見ると、糸を染める染屋さんとかも廃業していっていますし、安い海外製品が入ってきて苦しいという声を聞くこともあります。海外製品が入って日本国内の生産率がどんどん落ちていく中で、この先、モノを作る力があるのに作れない状況になってしまうのはもったいない。自分たちで作れる物があるなら、作って売ってみようということで2013年に始めました。

―そこでルームシューズを選んだのはなぜですか?

中橋さん:うちのような業種だと、何か新しく始めるならまず洋服に手を出すと思うんです。でも、うちの取引先のように時代の最先端を行くブランドさんと肩を並べられるか…と考えると、それはちょっと違うな、と。

じゃあメリヤス屋だからこそ作れる雑貨をやってみようと考えました。社内で色々とアイディアを募った中で、ひとりの女性社員がルームシューズを作って持ってきてくれました。それを見た時に「絶対これを売ろう」と確信したんです。

―そこから現在のデザインに至るまで、かなり大変だったのでは?

中橋さん:今のmerippaのデザインに固まるまで、だいたい2か月くらいかかったでしょうか。2か月と言っても、OEMのほうの仕事もやりながらですので、実際デザインに使った時間はもっと少ないんですよ。最初に社員が持ってきてくれたものだともっとスリッパっぽい見た目でしたが、より靴下っぽくしたデザインになりました。

やるからには、スリッパ屋さんでは作れない、メリヤス屋だからこそ作れるものにしないと意味がない。そこでリバーシブルにしてみようか、リバーシブルにするならかかとのリブを立てられるよね、というように発想していきました。

―新しいことを始めるにあたり、社内の反応はいかがですか?

中橋さん:merippaでは、merippaで得たものをみんなの仕事に結び付けられたらいいな、と考えて活動しているんです。他の社員もその考えを理解してくれていると思います。搬入作業を手伝ってくれたり、協力してくれます。

これ以上のものは想像できないから、この製品をもっと広めていきたい

―2013年にmerippaをスタートしたときは、何か目標にしているものはありましたか?

中橋さん:当初の目標は、伊勢丹新宿店の婦人雑貨売り場で絶対売りたい、ということでした。縁があってその目標は1年ちょっとで達成したんです。それが好評で、以降毎年クリスマスと母の日にポップアップショップを展開しています。百貨店の催事のほかに日本国内では、オンラインショップ・直営店・セレクトショップでも販売しています。

―直営店は、3年前に「merippa house」というお店をオープンしたんですよね。

中橋さん:もともとmerippa houseが入っている建物は、工場として使っていたんです。ただ、築70年くらいで、屋根瓦が落ちてくるわ、クーラーは効かないわ、という酷い状態でした。建て替えるか、売ってしまおうかと考えていたところ、せっかくだからお店にしてみよう、ということで改築して直営店としてスタートしました。

実は販路に関して言えば、国内の売り上げはmerippa全体の1/3程度なんです。残りは海外での販売で、中でもアメリカが圧倒的です。

―merippaが海外でも人気な理由をどう分析しますか?アメリカは土足文化の国ですが…。

中橋さん:アメリカでmerippaを取り扱っているショップでは、「自分の時間を大切にしましょう。好きなソファに座って、好きな本を読んでくつろぐ時間に、merippaを履いてみませんか?」という売り方をしたそうです。それがアメリカの人に受け入れられたようです。土足文化の国でも、みなさん家では靴を脱いでくつろぎたいんじゃないかな(笑)。

merippaは今まで世の中になかった製品だと思っています。全部洋服の素材を使っていて、それはこれまでのルームシューズにはなかった。そして形もかわいい。これまでアメリカの会社からうちにM&Aを仕掛けてきたこともありました。ということは、それだけmerippaが売れる可能性があると評価されているということかな、と思っています。

―これからのmerippaの展開は?merippaの新しいモデルを考えていたりしますか?

中橋さん:現在のmerippaを超えるものづくりはできない、違う発想の物ができないと感じているんです。だからこの製品をもって、もっと広くみなさんに届けるほうに注力していきます。

中橋さん:これからも引き続き海外に目を向けていきます。現在はミラノの会社にEU向けのECサイトを制作・運営してもらって、そこを拠点にヨーロッパ向けにもどんどん売り出していこうと動いています。また、アメリカ・中国・EU・イギリスでmerippaの商標を取得するつもりです。あとは海外の見本市にも出店したい。海外で広く展開して、またそれを日本にも持ち帰って国内でも販売を広げていけたらいいですね。

中橋さんが「これを超えるものづくりはできない」と真っ直ぐ言い切るmerippa。中橋さんの確信を裏付けるように、国内外でファンを作り続けています。
すっと足を入れて感じる、何とも言えない居心地の良さ。merippaが国を超えて受け入れられる理由は、使ってみたらすぐにわかると思います。

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文・構成/シマサキアヤ

このコラムを書いた人

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