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バイヤー中井の佐賀探訪 前編 - 60代・70代からの挑戦 -

2017年01月11日更新

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前回は、長崎県 波佐見町の
窯元さんを訪ねた時のことを
綴りましたが、今回の地方探訪
コラムは佐賀編。

地域に根ざしたものづくりを
されているつくり手さんのことや、
その土地ならではの風景や人、
食べものについてなどを
ご紹介したいと思います。

職人さんの姿勢から伝わってくること

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毎月1回、朝7時すぎの羽田発の飛行機に乗って向かいます。

ご縁をいただき、佐賀県の5社さんの
商品開発のお手伝いをさせて
いただくことになったのが2016年の
夏頃。

それからは毎月1回、県内のつくり手さん
の工房を定期的に訪れています。

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その中のお一人が、鹿島市で
ものづくりをされている、
「中原恵峰工房」の中原さん。

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近くで見ると、今にも動き出しそうな迫力があります。

普段は、県指定の伝統的地場産品の
浮立面(ふりゅうめん)をはじめ、
兜・お雛様・菓子型など様々なものを
彫刻で作られています。

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浮立面は、佐賀県を代表する
民俗芸能「面浮立(めんぶりゅう)」を
踊る時に使われるお面。

面浮立は、鬼面を被り、笛や太鼓
などのリズムに合わせて
五穀豊穣や雨乞を祈願して踊る
伝統芸能です。

その起源は諸説あるようですが、
約400年ほど前の時代の戦勝踊りが
元になっていると言われている
そうですよ。

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木材は主に楠を使われているそうで、
工房の中は、思わず深呼吸したくなる
さわやかな良い香りに包まれています。

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木の塊から、形を掘り出していったところ。どんな作品が完成するのか、今から楽しみです。

日当たりの良い静かな工房で、
黙々と形を掘り出す。

御歳78歳、その道の第一人者の
職人さんが、「新しいことに
挑戦していきたい」という思いで
木や道具と真摯に向き合う背中
からは、いろいろなものが
伝わってきて、その姿を見るたびに
いつも気持ちが引き締まります。

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こちらは中原さんの仕事道具たち。
息子さんと、親子で作品を彫られて
いらっしゃいます。

「ホー ホー」という哀愁のある笛の音

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「テテップゥ」と呼ばれる鳩笛。一番左の子はまだ目を入れる前。

こちらは「尾崎人形」。伝承によると、
「1281年、蒙古来襲の際(!)、
捕虜になった蒙古軍の兵隊が
人形を作って、遠い祖国を偲んで
吹き鳴らしていた」とのことです。

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こちらの写真にうつっている男性の方が、
つくり手の高柳さん。
佐賀一品堂の城島さんと一緒に
作られています。

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1点ずつ型に土を入れて焼き、
絵付けされています。

高柳さんは元々ものづくりに近い
ところにいらっしゃったそうですが、
尾崎人形については、伝承のために
60歳頃から受け継いだのだそうです。

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私もワークショップに参加。

今回は色作りからしてみました。

気に入った色に近い色を作ることが
できましたが、ムラなく塗ったり、
愛らしい目を入れるのはやっぱり難しい。
最後は仕上げていただきました・・・!

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紙のわしゃわしゃを敷いて、鳥の素風に。

「夏には何度か熱中症になって
いるからさぁ・・・」と仰る高柳さん。
(あぶないあぶない、本当に。)

セレクトショップでのお取り扱いも
増えて、ますます忙しくなっている
ようなので、これからもくれぐれも
体調に気をつけてものづくりを
続けていっていただきたいなと
思っています。

歳を重ねながら新しいことに
生き生きとチャレンジされている
大先輩方の背中。
毎回、いろいろな学びがある時間を、
ありがとうございます。

こぼれ話:震えるほどおいしい絶品ポテサラ

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スナック街の中にある、おいしい家庭料理をいただけるお店。

魚、肉、野菜、何でもおいしい佐賀
ですが、「ポテサラ」を愛してやまない
私が、震えるほどおいしいポテサラに
出会いました。

それが、佐賀市内にある
「旬菜台所 あ・うん」のポテサラ。

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やさしい口当たりでありつつ、
塩加減がぴたっと決まっていて、
引き立ての黒胡椒がピリリ。
一言でいうと、酒飲みのための
ポテサラなのです。
(決して甘くないやつ。)

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どのお料理もとってもおいしく、
器、盛り付け、酒器、全てが素敵。
オーナーの中林さんのお人柄も
魅力で、県内外のお客さまが
集うそうです。

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いつもは白い割烹着を着て
いらっしゃる中林さん。

使っていらっしゃる道具や器が
実は同席したつくり手さんの
先代が制作されたものだった(!)
なんてこともあり、佐賀県の
ものづくりの歴史をここでも
垣間見ることができました。

さて、次回は佐賀探訪 後編。
どうぞお楽しみに!


【バイヤー中井の地方探訪シリーズ】

波佐見編 その1 「白ねこオブジェが生まれるまで

波佐見編 その2 「スワンができるまで

静岡編「あの蔦の中に


 

このコラムを書いた人

中井 明香

スタイルストア バイヤー

中井 明香

いつもの暮らしがちょっと心地良くなるようなものやこと、つくり手の思いやものづくりのストーリー、その地域ならではの話をお伝えしたいなと日々考えています。

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